2012年4月13日金曜日

日本小児科学会 | 最新情報


1) 患児の顔写真を取り扱う会員は、患児の人権及びその家族の意志について最大限配慮し、盗難や紛失を未然に防ぐよう留意する。
2) 患児の顔貌の一部あるいは全顔貌を公開が必要な場合は、あらかじめ患児自身及びその親権者の承諾を得ておくべきである。その際、親権者の文書同意があることが望ましい。
3) 個人が同定されることによって生じるリスクが考えられる場合、公開される顔貌の部位は必要最小限にとどめるよう配慮する。


※なお、具体的な事例については下記の附録資料を熟読のうえ判断することが望ましい。

「論文や学会・研究会等で使用される患児の顔写真その他の取扱い」について

 これまで医学研究における患者の権利をめぐって、様々な倫理的問題が世界各国で討議されてきた。例えば、1964年6月の第18回世界医師会で採択された「ヘルシンキ宣言」(1975年・1983年に改訂) などが代表的な国際宣言の一つとして挙げられる。近年の我が国においても、2000年4月に厚生省 (現・厚生労働省) 科学研究費補助金健康科学総合研究事業「疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関する研究と倫理ガイドライン策定研究班」による『疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライン』( 国際連合総会第44会期採択による「子どもの権利条約」(1994年5月22日に我が国においても発効) が代表的である。この度の事案についても、基本的には上述の国際的に承認されているガイドライン、あるいは、国内においては公式に着手されている研究報告書等を参考にすることが有効と考えられる。

 当事者個人の利益が研究対象集団全体の利益に上回らない限り、原則として当事者の顔写真の公開は避けることが望ましい。これは上述のヘルシンキ宣言 (序言) の第5条にある「ヒトを対象とする医学研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先されなければならない」ということ、また、子どもの権利条約中にある「子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」べきことに則る考え方ではある。如何なる学術的根拠があれ、本人の顔写真を公開することにより少なくとも、その子ども自身の最善の利益が図られる事例は稀と考えられるからである。
 しかしながら、学術的・研究的・教育的見地などから、本人と同定され得る顔写真を用いざるを得ない況は確かにある。このような場合、「顔写真」は種々の個人情報の中でも、情報の由来する個人への遡及を可能とする識別力が比較的強いものであると考えられるため、子どもとその家族を含む当事者側の� ��来に悪影響を及ぼさないための最大限の配慮をもって、幾つかの厳格な条件を設けておく必要がある。


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 具体的には、上述の『疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライン』の第1部第10章「個人情報保護対策」の各項目に留意することが有効であると考えられる。特に、(10-1) 個人情報保護教育【関係者への個人情報保護に関する教育・啓発活動】を前提として、(10-3) 情報管理【I. 漏洩リスクの最小化、II.匿名化の推進、III. 情報取り違えの世予防】及び、(10-4) 情報廃棄【不要となった情報は不正に利用されないよう十分配慮して速やかに処分すること】は、この事案においても必須であると考えられる。

 したがって、
【個人情報保護対策】
<写真情報を含む個人情報保護教育>
 如何にこの事案についての統一的見解が示されても、学会関係者への個人情報保護に関する教育・啓発活動の実施なくして問題は解決しない。研究デザインの段階から、結果の開示の段階に生じ得る様々な問題について予測し倫理的にも適切な研究計画が自ずから立てられるよう、顔写真についての配慮も含めて全関係者に十分理解してもらうだけの啓発の機会を設けていく必要がある。

<写真情報の漏洩リスクの最小化>
 小児の顔写真を論文や学会・研究会等で用いる場合においても、何 らかの理由により学術的枠組外の一般にもたらされるリスクは絶対的には否定し得ない。患者の顔写真がスライドやOHP、テープなどの視聴覚媒体、学術誌等の印刷媒体、あるいはインターネット・プロトコル等のネットワーク流通媒体に記録される場合、不特定多数の閲覧に供されることも考えられ、個人への遡及可能性が高まることが推察される。従
って、公表に際して顔写真を取り扱う関係者を制限し、管理責任者を明らかにすることで盗難や紛失を未然に防ぐよう配慮される必要がある。

<写真情報の非連結化 (匿名化) の推進>
 目線を入れたり、解像度をぼやけさせる等の手法によって顔写真を加工して公開することで、個人が同定されるリスクを最大限回避するよう留意する。特に、人格権やプライバシー権に抵触するリスクが生じやすいことから、少なくとも公開される顔の部位は必要最小限にとどめるよう配慮されるべきである。その統一的基準について明らかにすることは非常に難しいが、適切なインフォームド・コンセントを講じることで、少なくとも顔写真が公表される当事者側の了解を得ておくべきである。特に、学術的・研究的・教育的見地などから全顔貌の表示がやむを得ず必須、または推奨的とする場合、必ず文書で保護者の了解を取っておくことが義務付けられるべきと考えられる (下記インフォームド・コンセントに関する項をご参照)。


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<写真情報取り違えの予防>
 上記遵守事項を確実なものにするため、顔写真の公表に際しては当該研究者以外の第三者による確認体制をあくまでも公式なものとして学会側は整えておく必要がある。今回のような倫理的問題を扱う事案では、本倫理委員会が適当であると考えられる。

<写真情報の廃棄>
 研究成果の公表 (開示) 後に不必要になった場合は速やかにこれを処分する。

【小児の顔写真公開に際してのインフォームド・コンセントについて】
<文書による同意の必要性>
 上記遵守事項が決して研究者側からの一方的なものにならないよう適切なインフォームド・コンセントが顔写真が公表される当事者側と交わされることが必要である。上述のヘルシンキ宣言「B. すべての医学研究のための基本原則」の第22条においても「医師は対象者の自由意志によるインフォームド・コンセントを、望ましくは文書で得なければならない。文書による同意を得ることができない場合には、その同意は
正式な文書に記録され、証人によって証明されることを要する (日本医師会訳)」とある。
 また、昨今の国内外のインフォームド・コンセントをめぐる動向を鑑みても、インフォームド・コンセントについては如何なる臨床状況であれ、文書による同意 (文書同意) を最終的に得るべきものと考えられる。それが叶わない場合でも、法的に実効性のある代諾者 (この事案の場合は保護者) による文書同意が求められ、特に、学術的・研究的・教育的見地などから全顔貌の表示がやむを得ず必須、または推奨的とす
る場合、必ず文書で保護者の了解を取っておくことが義務付けられるべきと考えられる。

<小児にインフォームド・コンセントを行う際の遵守事項>
【同意能力が認められないことがある人々が対象の場合 (自律性を認めることが難しい事例の場合)】
顔写真が公表される子どもが15歳以上であるときは、本人の同意能力を認め、成人の場合と同様、本人に対しインフォームド・コンセントの過程を経る。但し、未成年者が対象の場合には、成人の時以上に、分かりやすい説明方法・言葉が選択されなければならない。質問しやすい雰囲気が作られることも重要である。顔写真が公表される子どもが15歳未満のときには、代諾者 (この事案の場合は保護者) となるべき者から同意を得て研究を行うことが出来る。但し、15歳未満の者であっても、研究内容やリスクについて、本人に分かる言葉、分かる方法で十分に説明を受け、本人の意向確認・拒否の機会の保障がなされることは重要である。本人が拒否の意向を示している場合は、たとえ代諾者となるべき者の同意が得られている場合でも、その子どもの写真が公表されることは控えられるべきである。(以上の表現は、前述の『疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライン』第1部・第7章に準拠している)


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【学会統一見解に著しく背反する行為を行った場合の処置について】
上記の事項に著しく背反するような公表を行った結果、損害が生じた場合は、その研究のスポンサーとなり、またはそれを保証した機関は、公的な謝罪または補償によってその損害を償うべきである (CIOMS : 47, 前掲書掲載の訳文に準拠)。しかしながら、今回は、あくまでも方向性を示すためのガイドライン作成が目的であるため、これについては考慮の対象としない。

【個人と集団との間に生じる倫理的ジレンマについて】
 集団の福利を追究すれば個人の福利に制限が生じ、個人の福利を追究すれば集団の福利に制限が生じることは、如何なる問題においても当然起こり得る倫理的ジレンマと言える。おおよそ医療倫理の諸問題にはこうした力点の不均衡から価値観の対立が生じるケースが多い。顔写真を公開される小児患者個人にとって利益にならない場合でも、それが公開されることにより同様の疾患に苦しむ小児患者たち全体の病理解明につながることもあり得るわけである。自己と他者との利益を如何に両立させていくかという 倫理的命題もさることながら、この事案が子ども自身の将来に重大な影響を及ぼすおそれもあるだけに、今後も引き続き慎重に議論されていく必要がある。


(備考)

※現在のところ、我が国では「肖像権」は法律の条文として存在しないが、数々の判例によって法的に認められている。したがって、肖像権の侵害行為を法的に訴えることは十分可能である。

<子どもについての国際条約・宣言など>
子どもの権利に関する宣言 (子どもの権利宣言:Declaration of the Rights of the Child)
国際子ども年 (国際児童年:International Year of Child)
児童の権利に関する条約 (Convention on the Rights of the Child)
子どもの生存、保護および発達に関する世界宣言 (World Declaration on the Survival, Protection and Development of Children)
子どもの権利行使に関する欧州条約 (European Convention on the Exercise of Children's Rights)

<あくまでもご参考まで (抜粋)>
◎日本神経学会 (最終更新日:2002年9月20日)
学会誌『臨床神経学』投稿規定
d) -7:「患者の顔写真を使用する場合は、個人を特定出来ないように目の部分を隠すなど工夫する。患者を特定できる写真が必須のばあいは、患者あるいは親権者より承諾書を添付する。

◎日本小児がん学会
機関誌『小児がん』投稿規定
2) - VII.「患者の顔写真は遠慮下さい。」

<以下抜粋、通常の学校場面での問題を扱ったごく普通のホームページです。当然医療の問題とは分けて考えております。ただ我が国の社会通念において、一般的な子どもの顔写真についての価値観を知るために参照してみた次第です>


◎鎮西町立 加唐小中学校『学校用ホームページ運用要領』(平成10年12月16日)

◎呼子町立 呼子中学校『学校用ホームページ運用要領』(平成10年12月16日)

<2校とも同文>
「2. 個人情報の保護及び著作権の問題については、下記のような点に十分配慮する。」
I. 特定の子どもの顔写真が大きく出るものは避けるとともに、氏名と顔写真が一致するような掲載方法を避ける。
II. 子どもの写真や名前、作品などを掲載する時は、本人及び保護者の了解を得る。
III. 職員や保護者についても、上記I項、II項に準じて対処し、個人情報の保護については十分な配慮を行なう。

◎静岡教育サークル・シリウス『サイトを作るにあたっての配慮事項』

・子どもや職員の名前、及び個人情報を載せない。
・個人が特定できるような、子どもの顔写真を載せない。
・児童作品を掲載する場合、名前を臥せる。親・本人の許可をなるべく得る。

◎岐阜県教育センター・田中正己氏『ホームページの作成』

5. 児童生徒のプライバシー(個人情報)を保護したホームページ
児童生徒を犯罪に巻き込まれないように努力することは、大切な子どもを預かる学校の使命です。子どもの顔写真をホームページに掲載することは、効果もありますが大きな危険も伴います。そこで、次のような基準を設けている学校もあります。
・プライバシーに関する情報(個人情報)の掲載は、どうしても必要な場合だけにする。
・児童生徒の作品(著作物)や顔が写った写真を公開するときには、本人とその保護者の了解をとる。
・顔が写った写真を掲載する場合は、その人物の実名を掲載しない。どうしても掲載が必要な場合は、絶対に顔と名前が一致しないようにする。

◎安原 城次氏 (県立岡山養護学校 睦学園学級小学部)『著作権の校内研修』

「また,養護学校ということで,特殊学校紹介展のお知らせ等,不特定多数の人たちへ向けての情報の発信などのときは,事前に保護者に子どもの顔写真等を掲載してもいいかどうかの確認の問い合わせをしている (肖像権の保護)。」

◎道後小学校PTA『ホームページについてのアンケート集計結果』

Q:子どもたちの写真をのせてほしい。
A:プライバシーの問題上、子どもの顔写真は鮮明にはのせられません。



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